
離婚後の親権は、まず父母の協議によって「共同親権」か「単独親権」かを定めます(同条第1項・第2項)。 父母間の協議が調わない場合、または協議をすることができない場合は、家庭裁判所が子の利益を考慮して、共同親権とするか単独親権とするかを定めます(同条第7項)。
家庭裁判所が判断を下す場合でも、常に共同親権が認められるわけではありません。改正法は、以下のいずれかに該当し、父母が共同して親権を行使させることが「子の利益を害すると認めるとき」は、必ず一方を単独親権者に指定しなければならないと定めています。
第1号(虐待等のおそれ): 父又は母が、子に対して心身に有害な影響を及ぼす言動をするおそれがあるとき。
第2号(DV・対立等による共同行使の困難性): 父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無、父母の協議が調わない理由、その他の事情を考慮して、父母が共同して親権を行使することが困難であると認められるとき。
共同親権が選択された場合、親権は原則として父母が「共同して行使」します(同条第1項本文)。進学や転居、重大な医療行為など、子の生活や教育に関する重要事項は、父母の合意によって決定する必要があります。
しかしながら、共同親権の場合であっても、子の不利益を回避し、日々の生活を滞りなく進めるため、以下のケースでは各親が単独で親権を行使することが法律上保障されています。
相手方が物理的または精神的な理由により、親権の行使(意思決定への参加)が客観的に不可能な場合です。
具体例: 相手方の重病や意識不明による長期入院、行方不明(音信不通で連絡先が全く分からない状態)、海外での長期拘束、受刑中など。
父母の事前の話し合いや合意を待っていては、子の生命、身体、精神、または財産等に重大な不利益が生じてしまう緊急事態を指します。
具体例:
医療の緊急事態: 交通事故や急病に伴う、一刻を争う救命措置や緊急手術への同意。
安全確保: 相手方からのDV(家庭内暴力)や、子への虐待から保護するための緊急の避難(シェルターへの入所、別居の強行など)。
日々の生活に密着した細やかな決定事項です。これらについて都度父母の合意を要求することは非現実的であり、子の円滑な生活を阻害するため、単独行使が認められます。
具体例:
日常生活: 日々の食事の決定、衣服の購入、日常的なしつけ、散髪。
医療・健康: 風邪など一般的な病気での受診、予防接種の実施。
教育・課外活動: 日常的な学習サポート、子の生活や家計に過大な負担をかけない範囲の習い事の決定、学校における日常的な提出物の処理。
本改正は、施行日(2026年4月1日)より前に離婚し、すでに単独親権となっている事案に対しても適用されます。施行後、家庭裁判所へ「親権者変更」の申立てを行うことで、子の利益となると認められる場合には、従来の単独親権から共同親権への変更が可能です。

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