
▽施設入所中の高齢者が,成年後見申立の直前に,親族によって自己に不利な内容の遺産分割協議書に強引に署名させられた事案において,裁判所にて,遺産分割協議を無効とする勝訴判決を獲得した事案
事案と解決:
高齢で認知症のある父親が,施設に入所中,家族の知らないうちに他の親族によって,自己に不利な内容の遺産分割協議書に強引に署名させられました。父親は,認知症を理由として,近々に,成年後見の申立を行う準備をしていたところでした。当職は,長男から相談を受け,父親の代理人(成年後見人)として,遺産分割協議無効確認訴訟を提起しました。当職は,裁判において,①父親の判断能力が著しく低下していたこと,②遺産分割協議書に重要な財産(総遺産の約3割)が記載されていないことを指摘し,遺産分割協議は,意思無能力及び錯誤によって無効であるとの主張を行ったところ,裁判所はこの主張を認め遺産分割協議が無効であるとの判決が下りました。相手方は,名古屋高裁・最高裁へ控訴・上告しましたが,相手方の主張はいずれも退けられ,地裁での当方の勝訴判決がそのまま確定しました。その後,相手方との間で,改めて遺産分割調停を行い,本来の法定相続分を前提として調停が成立しました。
お客様の声:
大変な裁判でしたが,先生方にご尽力いただき勝訴することができました。ありがとうございました。
担当弁護士よりコメント:
施設入所中の高齢者の判断能力の低下を利用して遺産分割協議書を作成してしまうという悪質な事案でしたが,①意思無能力,②錯誤を理由とする遺産分割協議無効を主張した当方の見解を裁判所が最後まで支持してくれました。遺産分割協議は法律行為ですので,法定相続人の判断能力が著しく低下している場合には無効となります。また,同様に,重大な錯誤があった場合にも無効となります。本件は,当事務所において過去の判例の調査を綿密に行い,本件の事案に最も適した判例を詳細に分析・比較検討した上で,主張を組み立てました。また,裁判では,医師の尋問を実施し,当時の判断能力について当方に有利な見解を引き出しました。遺産分割協議を無効とする判決はまだ少なく,実務上,重要な判決を獲得できたものと思います。
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